今回は住宅の床材として根強い人気の無垢フローリングについて。複合フローリングとの違い、主要樹種の特徴、メリット・デメリットを、実務目線で分かりやすくまとめました。
無垢フローリングとは
無垢フローリングは、薄板を貼り合わせた複層(合板)ではなく、断面が単一の木でできた床材のこと。木そのものの質感・香り・経年変化を楽しめます。乾燥方法は人工・天然があり、含水率や施工後の伸縮挙動に差が出ます。
※用語メモ:業界では集成材や積層材も広義で「無垢」と呼ぶ場面がありますが、本記事では単層の無垢板を指します。
無垢のメリット&デメリット(要点整理)
- 質感と経年美:素足でわかる温かみ。使い込むほど味が出る。
- リラックス効果:樹種により芳香(フィトンチッド)や調湿で居心地アップ。
- 断熱性:熱を伝えにくく、冬でも“ヒヤッ”としにくい。
- メンテで長持ち:削って再生(サンディング)やオイル再塗装が可能。
注意点:
・季節で伸縮や反りが出る(施工と含水管理が重要)
・やわらかい樹種はキズが付きやすい
・複合に比べて初期コストは上がりやすい
主要樹種と特徴
針葉樹(足あたりが柔らかめ)
松(パイン)

柔らかな足触りと素朴な木目。節ありはカジュアル、節なしやレッドパインは上質寄り。キズはつきやすいが、暮らしの跡が味になるタイプ。
桐(キリ)

非常に軽くて温かい踏み心地。調湿・断熱に優れ、素足派に人気。凹みやすいので使い所の設計配慮が鍵。
杉(スギ)

香りとクッション性が魅力。反面キズは入りやすいので、塗装やラグで運用工夫を。
檜(ヒノキ)/豪州ヒノキ(サイプレス)

緻密で上品、香り高い。サイプレスは耐久・防蟻性に優れ、外部近接空間や土間続きでも選ばれます。
バンブー(竹)

硬くて安定、環境負荷が低い素材。ややクールな質感でモダン内装にマッチ。
広葉樹(耐久性・重厚感)
栗(チェストナット)

タンニン由来の耐久・耐水。はっきり木目で経年の色変化が美しい。ヴィンテージとも好相性。
ウォルナット

深い褐色と艶。家具との調和が取りやすく、落ち着いた高級感を演出。
チーク

世界三大銘木。耐久・耐水・寸法安定が高水準。アジアンやホテルライクな内装に。
バーチ(カバ)/オーク(ナラ)/ビーチ(ブナ)/チェリー(桜)/アッシュ(タモ)

オークは虎斑が象徴的で万能選手。バーチ/ビーチは明るく上品、北欧テイストに合う。チェリーは飴色への経年変化が魅力。アッシュはまっすぐな木目で家具との相性抜群。
相性の良い仕様・設計のコツ
- 仕上げ:オイルは質感重視、ウレタンはメンテ軽め。用途に合わせて選択。
- 温熱との相性:床暖房は「床暖対応」の無垢材を。含水率と施工基準に注意。
- 湿気計画:玄関土間や水回りは樹種/仕上げを切り替えると安心。結露と湿気対策も併読推奨。
- 窓まわり:結露や日射熱の影響を減らすため複層ガラス+樹脂サッシが相性◎。
よくある質問(簡易版)
Q. キズが心配です…
→ やわらかい針葉樹はキズが味になります。気になる方は広葉樹+マットなウレタン、またはラグの併用を。軽度の凹みは蒸しタオル+アイロンで戻る場合も。
Q. お手入れは?
→ 掃除は乾拭き中心、年1〜2回オイルなら再塗装。汚れは中性洗剤を薄めて固く絞った布で。
Q. 断熱や快適性は上がる?
→ 体感は上がりやすいですが、家全体の性能は断熱の基本+窓計画の影響が大。併せて検討を。
まとめ
無垢フローリングは、素材感・経年美・再生可能性で長く愛せる床材。暮らし方やメンテの許容度に合う樹種と仕上げを選べば、コスト以上の満足が得られます。設計段階から「温熱・窓・湿気」の基本もセットで考えると後悔しにくいです。
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