住宅のバルコニー(ベランダ)は本当に必要?建築家が“要/不要”を徹底解説
「家にはバルコニーがあるのが当たり前」――そう思っていませんか? 結論から言うと、物干し目的だけなら多くの住宅でバルコニーは不要です。ここでは、最新の家づくり事情を踏まえながら、バルコニーの役割・メリット/デメリット・代替案まで、実務目線でわかりやすく整理します。
まずは 失敗しない家づくりの基本 も参考にしてください。
そもそもバルコニーの役割は?
ヒアリングでよく挙がるのは、次の3つ。
- 物干し場として使いたい
- 布団を干したい
- 「家には付いているもの」という思い込み
このうち物干し・布団干しだけが目的なら、バルコニーは必須ではありません。むしろ現代の住宅性能と暮らし方を踏まえると、性能とデザインを両立させた家 では室内干しのほうが合理的なケースが多くなっています。
“不要”といえる理由:外干しのリスクとコスト
- 花粉・PM2.5・黄砂の付着:アレルギー体質のご家族には逆効果。
- 防水・メンテナンス費:バルコニーは防水層・笠木・排水などの維持管理が必要。長期ではランニングコスト増に。
- 雨仕舞・漏水リスク:納まりが複雑になるほど不具合の芽が増える。
- 熱損失・断熱の弱点化:外皮の出っ張りは断熱・気密の連続性を崩しがち。
- 面積効率の悪化:スペースをとるわりに、年間の稼働率は低めになりがち。
つまり「外に干すためだけのバルコニー」は、性能・維持費・使い勝手の面で割に合わないことが多いのです。特に 建築ハウツー記事 にもあるように、防水納まりや断熱計画は住宅の長寿命化に直結します。
室内干しが主流になった理由
現代の住宅は、高断熱・高気密+計画換気がベース。これにより、次の条件が整えば部屋干しでもしっかり乾く設計が可能です。
例えば 高松スタジオ での実例では、ランドリールーム+ファミリークロークを隣接させることで家事効率を大幅に改善しました。
- 換気計画:24時間換気の気流設計で乾燥効率UP。
- ランドリールーム:脱衣・洗濯・干す・しまうを一筆書きの動線に。
- 除湿・補助空調:梅雨や冬は除湿機/エアコンの連携で安定乾燥。
- 収納計画:ファミリークローゼット隣接で家事時間を圧縮。
さらに、冬の過乾燥対策として部屋干しが湿度調整にも寄与。健康面でもむしろメリットがあります。
それでも「設ける価値」があるケース
バルコニーを“外部居間”として積極活用するなら話は別。以下のような明確な目的があるなら、設ける価値があります。
こうした発想は 弊社ポートフォリオ にも数多く事例が掲載されています。
- 2階リビングの延長:視線をかわしつつ外の居場所をつくる(朝食・カフェ・子どものプール)。
- 趣味の場:ガーデニング/家庭菜園/天体観測など、室内では代替しづらい活動。
- スモールワーク:短時間の喫煙・読書・リフレッシュコーナー。
ポイントは“用途と頻度”を数値化しておくこと。年数回の利用ならデッキや小さなテラスの方が合理的、という判断も十分にありえます。
まとめ:物干しのために作る時代ではない
バルコニーは目的と頻度が明確なときだけ“積極的に楽しむ外部空間”として採用するのが、現代のベストプラクティス。
物干しは室内干し+ランドリールーム+計画換気で快適・衛生的・時短を実現しましょう。
詳しくは 東京事務所 や 香川事務所 にお気軽にご相談ください。
無料相談:あなたの家に“本当に必要な外部空間”を一緒に整理します
暮らし方・敷地条件・コスト・メンテのバランスは住まい手ごとに違います。バルコニーに限らず、テラスや中庭、ランドリールームなどの代替案も含めて、最適解をご提案します。まずは 失敗しない家づくり の記事から考えを整理してみてください。
コメント