普段、住宅設計を行う中で「二世帯住宅」のご相談をいただくことは意外と多くあります。そのたびに家族同士の関係性や生活習慣の違いと向き合い、間取りや共有範囲の工夫が重要だと実感します。今回は建築家の視点から、二世帯住宅を設計する際のポイントについて解説していきます。
二世帯住宅で良好な関係を維持するために
二世帯住宅で最初に考えるべきは「どこまでを共有するのか」という点です。ここを曖昧にすると日常のストレスや衝突につながりやすくなります。失敗しない家づくりのためには、共有部の線引きを明確にすることが第一歩です。
玄関エントランスの共有・分離
玄関を共有するか分けるかで暮らし方は大きく変わります。完全に分ける場合は、ほぼ独立した二世帯住宅となり、注文住宅の自由設計が活かせる部分でもあります。一方で、共有玄関にすると建築コストを抑えつつ交流が生まれやすい反面、生活動線の干渉には注意が必要です。
キッチンの有無はライフスタイルに直結
二世帯住宅でキッチンを2つ設けるケースは珍しくありません。ただし、将来的に使わなくなる可能性もあるため、コスト面や維持管理をよく検討しておく必要があります。キッチンの計画は生活スタイルを大きく左右するため、店舗設計で培った動線計画の知見も役立ちます。
洗面脱衣室・浴室の共有
洗面脱衣室や浴室はキッチンよりも共有率が高い傾向にあります。ただし、入浴の時間帯やプライバシーへの配慮を事前に話し合っておかないと、日常的なストレスの原因となります。建築ハウツー記事でも紹介しているように、事前の想定とルール作りが重要です。
将来を見据えた二世帯住宅の設計
ご両親もいつまでも元気でいられるとは限りません。将来的に親世帯が不要になったスペースをどう活用するかも、二世帯住宅を成功させる鍵です。
- 子世帯だけで使う住まいへリフォームする
- 親世帯部分を賃貸に転用して収益化する
- 将来の三世帯同居に備える
このように複数のシナリオを想定し、設計段階で柔軟性を持たせることが、実例に学ぶ設計の工夫にもつながります。
まとめ|「共有」と「独立」のバランスを考える
二世帯住宅は、単に二つの世帯を同居させる住まいではなく、家族の関係性をデザインする住宅です。共有範囲を明確にし、将来の変化にも対応できる柔軟な計画が不可欠です。
東京オフィスや香川オフィスでは、地域性や土地条件も考慮しながら二世帯住宅の最適解をご提案しています。ぜひお気軽にご相談ください。
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