河添甚 / KAWAZOE ARCHITECTS
一級建築士・代表 / 建築設計・店舗デザイン
店舗設計において、照明ほど「費用をかけた分だけ差が出る」要素はないと言っても過言ではありません。同じ内装・家具を使っていても、照明計画が違うだけで空間の印象は大きく変わります。また照明は集客・単価・リピート率にも直結する、見落とされがちな重要設計項目です。
01照明が店舗の雰囲気を決める理由
人間の目は光のある場所に引き寄せられます。店舗入口を明るく照らすことで通行人の視線を集め、入店率を高めることができます。逆に内部は落ち着いた間接照明にすることで滞在時間が延び、飲食店では追加オーダーにつながります。照明のデザインには大きく分けて「全体照明(ベースライト)」「スポットライト(アクセント照明)」「間接照明(グレア照明)」の3種があり、これらを組み合わせることで立体感のある空間が生まれます。
02色温度と演色性の基本
照明選びで最初に理解すべきは「色温度(K:ケルビン)」と「演色性(Ra)」です。色温度は光の色味で、2700〜3000Kが電球色(温かみのある黄色い光)、4000〜5000Kが白色・昼白色(クールで明るい光)、6000K以上が昼光色(白く青みがかった光)です。カフェ・レストランなど滞在型の店舗には2700〜3000Kの電球色が適しており、落ち着いた雰囲気を作れます。演色性(Ra)は色の再現性を示す指標で、Ra90以上の高演色性照明を使うと食材・商品・インテリアが本来の色で見え、商品の魅力が引き出せます。
03業態別の照明設計のポイント
業態によって照明設計の方針は異なります。カフェ・バー:間接照明主体で落ち着いた電球色を採用。テーブルごとにペンダントライトを配置すると「自分だけの空間」感が生まれます。物販・セレクトショップ:商品をスポットライトで浮かび上がらせる「ドラマチック照明」が有効。影と光のコントラストが商品の質感を引き出します。美容院・サロン:施術スペースには高演色性(Ra95以上)のワーク照明が必須。カット・カラーの仕上がりに影響します。
04照明予算の目安と優先箇所
照明器具・工事費は内装費全体の10〜20%が目安です。予算が限られている場合、優先すべき箇所は①入口・ファサード②カウンター・テーブル面③商品展示スペースの順です。この3箇所だけでも照明にこだわれば、空間全体の印象は大きく向上します。照明器具はコスト・メンテナンス・演出効果のバランスからLED器具が主流ですが、フィラメント電球(エジソンバルブ)をアクセントに使うことでローコストでもヴィンテージ感を出すことができます。
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河添甚(かわぞえ じん)
一級建築士 / KAWAZOE ARCHITECTS 代表
大阪工業大学建築学科卒。設計事務所・ゼネコン勤務を経て独立。東京・香川・高松を拠点に、建築設計から内装・ロゴ・Webまで一気通貫で担う店舗トータルデザインを手がける。
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