昨日は、先日連絡をいただいていた友人と打ち合わせを行いました。相談内容は、相続により所有する可能性が高まったリゾートマンションの活用方法についてです。相続不動産というのは「持ち続けるか」「売却するか」「リノベーションして活用するか」と選択肢が多く、方向性を誤ると管理費や修繕積立金といった維持コストばかりがかかってしまいます。今回の相談では、そのようなリスクを避けつつ、資産価値を高めるための方法を探ることがテーマでした。
リゾートマンションの立地は関東圏から車で2時間ほど、温泉街に隣接するエリアで、周辺環境はどこか懐かしい昭和の雰囲気を残しています。この「ノスタルジックな街並み」と「海を望めるロケーション」が、資産価値を再評価する上で大きなポイントになると感じました。とくに近年では、観光地の宿泊施設不足やワーケーション需要の増加から、貸別荘やバケーションレンタルとして活用するケースが増えており、リノベーション次第で収益物件へと変貌させることが可能です。
今回の初回打ち合わせでは、物件情報やスタディ資料をベースに議論しましたが、ヒアリングが中心でした。相続不動産は家族の想い出や歴史とも直結するため、単なる収益性だけでなく「どういう暮らしを次世代に残したいのか」という価値観も重要になります。そのため、建築的な視点からだけでなく、ライフスタイルや地域文化との親和性についても意見交換を行いました。
建築家の立場から提案できるのは、「資産を活かす空間のリデザイン」です。例えば、既存の間取りを大きく変え、住宅設計のノウハウを取り入れた快適な居住空間へと改修する。あるいは、店舗デザインの手法を応用してカフェや小規模な宿泊施設へ転換し、地域に開かれた拠点として再生する。こうした方向性によって、単なる“古いマンション”を“新たな価値を生む拠点”へと変えることができます。
来週末には現地調査を予定しています。梁の位置や天井高、建具寸法といった基本的な建築要素の確認に加え、外観の老朽化状況や設備の劣化度合いなどもチェックする予定です。そのうえで、リノベーションの方向性を整理し、資産価値をどこまで引き上げられるかを具体的に試算していきます。現地調査の結果次第では、これまでの設計実績を参考にしながら複数案を比較検討し、最終的な活用方針を決定する流れです。
相続不動産の活用は決して簡単ではありませんが、適切なリノベーションや不動産活用戦略を組み合わせれば、大きな価値を生み出す可能性があります。進捗があり次第、このブログでも随時レポートしていきますので、ぜひご覧ください。
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