政府は住宅が建つ土地の固定資産税の軽減措置についての見直しに入っていましたがこの度、空き家対策特別措置法(議員立法)が26日、全面施行されました。これで危険な空き家と判定された場合は減税対象から除外される可能性があります。今回はこの固定資産税の軽減措置の見直しについて考察してみたいと思います。
住宅が建つ土地の固定資産税を軽減する措置とは?
土地や建物などの不動産には、固定資産税がかかります。
税額は課税標準の1.4%です。
しかし、建物が立つ住宅用の土地に対しては
200㎡までが1/6
200㎡を超える部分に対しては1/3
に軽減されます。
これが固定資産税の軽減措置と呼ばれるものです。
なぜ、見直しに?

総務省の調査(2013年10月時点)によると、全国の空き家数は820万戸らしいです。また、住宅総数に占める割合は13.5%で7~8軒に1軒が空き家という計算になります。管理が行き届いていない空き家は倒壊および不審火の可能性や衛生、景観などに悪影響を与える懸念から大きな社会問題となっているそうです。
どんな建物が「特定空き家」の対象に?
この度の空き家対策特別措置法(議員立法)の全面施行により、「特定空き家」の対象となる建物が明確化されました。
全面施行により市町村は
(1)倒壊の恐れがある
(2)衛生上著しく有害
(3)景観を著しく損なう
(4)生活環境を保てない
―のいずれかに該当する空き家を「特定空き家」と認定し、立ち入り調査や、所有者に対して撤去・修繕の指導、勧告、命令が可能となりました。また、所有者が勧告に従わない場合は固定資産税の優遇措置を打ち切れるようにしたほか、命令に従わなければ強制的に解体ができるとあります。
国土交通省は同日、特定空き家への措置に関するガイドラインを発表し、特定空き家の判断基準として
「柱が傾斜している」
「ごみ等の放置、不法投棄による臭気の発生」
「多数の窓ガラスが割れたまま放置」
などを例示し、立ち入り調査や勧告の手順も具体的に示しています。
「特定空き家」に認定されたら?
現状減税措置を受けている場合であれば、自治体が所有者に勧告した時点で固定資産税の特例はこの度の改正により解除されることになりました。
罰則規定はあるの?
所有者が命令に応じない場合、行政代執行による強制的な解体・撤去が可能になる。命令に違反すれば50万円以下の過料、立ち入り調査を拒んだり妨げたりした場合は20万円以下の過料を科すこともできるとあります。
見直しから見えてくるものとは?

特定空き家に認定された場合、現在1/6の減税措置を受けている人の場合は固定資産税の納税額が6倍に跳ね上がることになるので今回の見直しは死活問題です。何かしらの手を打つ必要があります。
地方創生の観点から考えると過疎化が深刻化する地方では今回の法整備が一つの起爆剤になるかもわかりません。というのも今回の法改正を期に空き家を所有する持ち主が自治体と一体となって空き家を活用していくことで、都会からの移住者を呼び込み地域の町おこしをしていくメリットもあると思います。実際にそのような声も上がっているようです。
また、空き家情報をネットで公開し、借り手を募る「空き家バンク」を設ける自治体も増えているようです。
都会においては今回の見直で空き家をリフォーム・リノベーションして不動産価値を高め、活用・再生していく動きはより加速していくことが予測されます。
空き家リノベーションのコンペにて弊社の案が最終選考作品に選ばれました。
空き家の有効活用を検討されている方へ

コメント