政府は住宅が建つ土地に適用される固定資産税の軽減措置について見直しを進めてきました。そして2025年、ついに空き家対策特別措置法が全面施行されました。これにより「危険な空き家」と判定された場合、これまで受けられていた減税措置から除外される可能性が高まり、所有者にとって大きな転機となっています。今回は、この固定資産税の軽減措置見直しと、空き家問題の今後について解説していきます。
住宅が建つ土地の固定資産税軽減措置とは?
土地や建物といった不動産には固定資産税がかかります。標準的な税率は課税標準額の1.4%ですが、住宅が建っている土地については特例が設けられています。
- 200㎡までの部分:1/6に軽減
- 200㎡を超える部分:1/3に軽減
なぜ見直しに至ったのか?
総務省の調査によると、全国の空き家は820万戸を突破。住宅総数の13.5%、つまり7~8軒に1軒が空き家という深刻な状況です。放置された空き家は、倒壊や不審火、害虫の発生、景観悪化など地域社会にさまざまな悪影響を及ぼします。この現実が、制度見直しを後押ししました。
特定空き家とは?
- 倒壊の恐れがある
- 衛生上著しく有害
- 景観を著しく損なう
- 生活環境の保全に悪影響を与える
認定後は所有者に対して立ち入り調査や修繕・撤去の指導・勧告・命令が可能となり、従わない場合は固定資産税の特例が即時解除されます。さらに命令に背いた場合、行政代執行による強制解体も行われます。
見直しがもたらす影響
軽減措置を失うと、これまで1/6に抑えられていた固定資産税が6倍に跳ね上がるケースもあります。所有者にとっては大きな負担増となり、空き家をそのまま放置するリスクは極めて高まります。
一方で、今回の法整備は地方創生のチャンスでもあります。所有者と自治体が協力し、空き家を活用することで移住促進や地域再生につなげられる可能性があるからです。実際、各地で「空き家バンク」制度が普及し始めています。
また都市部では、空き家をリフォームやリノベーションによって再生し、不動産価値を高める動きがさらに加速すると予測されます。
まとめ
固定資産税の軽減措置は、これまで住宅所有者を支える大きな制度でした。しかし、今回の見直しにより「放置された空き家」を守る仕組みはなくなり、所有者には責任ある対応が求められます。今後は空き家をどう活用・再生していくかが大きな課題となるでしょう。
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