北道路・高低差ありの敷地にどう向き合うか

愛知県の高低差のある分譲地。南側は隣地建物が接近し、北側に道路がある敷地に出会いました。整形地でありながらも、そこには“読み解くべき個性”が確かにあります。今回の記事では、敷地調査の現場で見えてきたポイントを建築家の視点で掘り下げてみます。

この敷地の特徴|3つの制約と可能性

① 約1.5mの高低差が与える影響

道路より敷地が高くなっているため、アプローチ計画に工夫が必要。視線の高さのズレは、逆にプライバシーを確保しやすい要素にもなり得ます。

② 南側に建物が迫る日照環境

南側には建物が近接しており、1階部分は光が入りにくい状況。2階や吹抜けを活用し、縦方向の採光をどう確保するかがカギになります。

③ 北側に開ける抜けと道路接道

北側の道路面には視線の抜けがあり、周辺環境に恵まれています。日照条件だけでなく、心理的な“開き”としての北の可能性も見逃せません。

現地調査で見えた「暮らし方のヒント」

太陽の入り方、隣家との距離感、風の流れ、周囲の生活音まで含めて、五感を使って読み取ります。敷地をただの地面として見るのではなく、ここにどんな暮らしが生まれるかを想像しながら読み解くことが重要です。

この土地に求められる家のあり方とは?

コンパクトで閉じすぎない設計、でも“外に開きすぎない家”が求められます。結果的に、吹抜け・階段という「内に開いた仕組み」が、今回の設計の起点になると感じました。

次回予告|高低差を活かした「階段が光を導く家」

次回は、この敷地に対してどんな設計提案を行ったかをお届けします。北に開き、南上部から光を導く「階段吹抜け」が鍵になる空間設計。ぜひご覧ください。