Salem International College – Härlen を見学|ユーバーリンゲンの学びと建築

Salem International College – Härlen を見学|ユーバーリンゲンの学びと建築

2018年7月24日

滞在6日目は、ドイツ南部ボーデン湖の北岸に位置するユーバーリンゲン(Überlingen)へ。現地ではSalem International College – Härlen(セーラム・インターナショナル・カレッジ/ハーレン)を見学しました。
ユーバーリンゲンは、過去に悲しい航空機事故があった場所でもあり、静かな追悼の気持ちを胸に、環境と調和するキャンパスの設えを建築的視点で観察しました。

Salem International College – Härlen

セーラム・インターナショナル・カレッジ|レンガが織りなす学びの景観

Salem International College Härlen レンガ外装の校舎外観
レンガ外装が特徴的な校舎。落ち着いた素材感が周辺環境に溶け込む。

全体はレンガを基調とした落ち着いたマテリアル構成。外壁の陰影と植栽のボリュームが呼応し、学びの場らしいスケール感と静けさを形成しています。

ホールとトップライト|柔らかい自然光で満たす内部空間

セーラム・インターナショナル・カレッジ ホール空間とスタッキングチェア
多目的ホール。可動椅子で用途転換が容易なフレキシブル空間。
トップライトで自然採光を取り入れるホール天井
トップライトから拡散する自然光。直射を避けた柔らかい採光計画が印象的。

コミュニティスペース|食堂・回廊・校庭の連続性

大学の食堂 コミュニティスペース
学生の交流を促す食堂。適度な天井高さと外部視線の抜けで滞留性を高める。
列柱が特徴の外部回廊と教室棟
列柱の外部回廊で棟間をゆるやかに接続。屋内外の移行帯が居場所を生み出す。
円形トップライトのディテール
円形トップライト。点光源的な採光で場の重心を示す。

教室の構造・環境計画|張弦梁とドラフト対策

張弦梁で構成された教室空間
張弦梁で大スパンを軽やかに確保。天井面の軽快さが音環境にも寄与。
教室外壁の上下ヒーターとベンチの一体ディテール コールドドラフト対策
外壁面の上下ヒーターでコールドドラフトを抑制。下部はベンチ兼用の合理的ディテール。

学生寮|スパイラル動線と共用キッチンがつくる生活風景

学生寮の外観と敷地内通路
学生寮外観。棟ごとにスケールを調整し、小さなコミュニティを形成。
学生寮内部 吹き抜けと螺旋階段の構成
吹抜けと螺旋階段で上下階の気配をつなぐオープンな構成。
学生寮の共用キッチン
共用キッチンは寮生活の中心。滞在と交流を促進する場づくり。

環境技術の展示|ソーラーシステムと断熱サンプル

ソーラーシステムの展示
太陽熱/太陽光利用の取り組み。設備の見える化で学習効果を高める。
外壁断熱部のグラスウール断面サンプル
グラスウール断面の展示。断熱・気密の考え方を学生にも分かりやすく提示。
太陽光発電システムの仕組み 解説パネル
太陽光発電のシステム図。キャンパス全体での省エネ思想を可視化。

素材選定から空間構成、環境技術の「見える化」まで、学びのプロセスを空間に落とし込む姿勢が要所に見られました。
静謐な風景の中で、建築が「教育の器」として果たし得る役割を再確認できる見学でした。