富岡製糸場見学レポート|世界遺産に見る明治期の木骨煉瓦造建築

富岡製糸場見学レポート|世界遺産に見る明治期の木骨煉瓦造建築

2015年6月21日

先日は群馬県にある世界遺産・富岡製糸場を見学してきました。
当日はあいにくの雨でしたが、世界遺産登録の影響もあって朝から多くの人が列をなしており、改めてその人気ぶりを感じました。

上州富岡駅

富岡製糸場の最寄り駅である上州富岡駅
大きな庇が印象的な駅舎で、細い柱と軽やかなデザインにより、広がりのある空間が実現されています。

上州富岡駅 外観
上州富岡駅外観。大庇の下に軽快な構造美が見られます。
上州富岡駅 大庇
大庇の下部ディテール。意匠的な工夫により軽やかさを演出。

富岡製糸場 入り口ゲート

富岡製糸場の入り口ゲートです。奥には東蠶倉庫が見えます。
明治初期の洋風建築の特徴が随所に感じられます。

富岡製糸場 ゲート
富岡製糸場の正門。レンガ造のアーチが印象的。

東蠶(かいこ)倉庫

外観

東蠶倉庫は赤煉瓦と縦長窓が特徴的な建物で、明治5年(1872年)に建設されました。
日本における近代化建築の初期を代表する貴重な遺構です。

富岡製糸場 東蠶倉庫
東蠶倉庫の外観。赤煉瓦と木骨の組み合わせが美しい。

入口アーチの要石

入口のアーチ上部には、左右のレンガを抑える「要石(かなめいし)」がはめ込まれており、
そこには明治5年の文字が刻まれています。

富岡製糸場 要石
要石に刻まれた明治5年の文字。

換気用の扉

湿気対策として設けられた換気用の扉。夏場は全ての窓を開け放して通風を確保していたそうです。
構造は木骨煉瓦造という日本でも珍しい工法が用いられています。
木造フレームの間にレンガを積み、漆喰を目地材として使用している点も特徴です。

富岡製糸場 換気扉
換気用扉。木骨煉瓦造のディテールがよく分かります。

内部の様子

現在は展示室やお土産コーナーとして利用されており、
奥のモニターでは富岡製糸場の歴史を紹介する映像が上映されていました。

富岡製糸場 東蠶倉庫 内部
東蠶倉庫内部。構造材の組み方が間近で見られます。

操糸場とトラス構造

操糸場の外観です。大屋根を支える小屋組にはトラス構造が採用されており、
大スパンの空間を実現しています。

富岡製糸場 操糸場
操糸場の外観。明治の産業建築の技術力を感じます。
富岡製糸場 トラス構造
トラス構造の小屋組。軽量かつ剛性を確保した構造美。

周辺の街並み

周辺の街並みでは、古い木造家屋をリノベーションしたカフェやショップが多く見られました。
歴史と現代の生活が融合する心地よい空気感があります。

富岡市 古民家カフェ
古民家を再生したカフェ。街全体が文化遺産のような雰囲気。
古民家再生 店舗
古民家をリノベーションした店舗。シルク関連商品を販売。

帰り道に立ち寄った土産屋では、リアルすぎる蚕の形をしたチョコレートを発見。
そのインパクトに思わず笑ってしまいました。

蚕 チョコレート
蚕チョコ。思わず話題にしたくなるお土産です。

▶︎ 関連ページ:東京事務所建築作品集香川事務所