オフィスを住宅に転用する動きは続いています。数字だけ見ると、空室対策にも住宅供給にも見えます。ただ、1990年代から2000年代前半に多い「完全空調・密閉型」のガラス張りを、そのまま住まいにすると、住み心地でつまずきやすいです。
当時の外装は、働くための薄く軽い境界として最適化されています。熱の逃げ方・入り方、視線、開かない窓——住まいとして読むと、弱点が先に出ます。壁で区切って水回りを足すだけの改修だと、温室のような熱さや、カーテンを閉め切った生活になりやすい。
薄い外装と、厚い外装
対策のひとつが、既存ガラスの外側や内側に奥行きをつくる「厚い外装」です。軽量な木やスチールのグリッドを足し、1.5〜2メートル程度の中間領域をつくる例があります。バルコニー、日射遮蔽、植栽の場所にもなります。
都市の騒音と室内のあいだに、呼吸できる層を置くイメージです。エネルギー収支だけでなく、守られている感覚や陰影も、住まいでは大事な条件です。
コストと資産の見方
外装に奥行きを足すと初期費用は増えます。一方で、「改修済みだが住みにくい」状態は、数年後の価値を下げやすい。長く住める外装に寄せる判断は、資産防衛としても読めます。
骨組みは残しつつ、皮膚側を更新する。スクラップ&ビルドでも、形だけ残すことでもなく、住まいとして成立する境界をつくり直す、という考え方です。
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