はじめに

このレポートは、静岡市葵区羽鳥6丁目で計画中の住宅プロジェクトにおける敷地の特性を整理し、設計に活かすための観点を共有するものです。特に“視線が抜ける”“奥行き”“眺望”を設計テーマに据える当該プロジェクトだからこそ、敷地の条件を正しく把握することは不可欠です。
敷地概要と周辺環境
- 地形・高低差
敷地はわずかな高低差を含む傾斜地。南側に向かってやや開けており、南東方向に視線が抜けるポテンシャルがあります。 - 接道・道路条件
北側の道路に面しており、道路幅員と視線の取り方が設計上の制約となります。道路側からのプライバシー確保が必要。 - 隣地・建物配置
隣地住宅は北側および東側に存在。特に東隣の建物が2階建てで窓を持つため、その影と視線関係を意識する必要があります。 - 眺望方向と視線ライン
敷地の南東方向が比較的空いており、遠景として富士山方向への視線が期待できます。ただし、隣家や樹木の影響も考慮。 - 日照・採光条件
南東・南向きに開放性を持たせれば、朝から昼にかけて自然光を得やすい。西日の強さも念頭に置く。 - 風・気流
敷地周囲は建物や樹木が密集しており、通風がスムーズに抜ける条件とは言い難い。風の流れを前提とした設計には制約があると想定。
注目すべき設計視点と提案ポイント
- プライバシーを守る外観構成
道路側および北側方向は閉じた壁面構成とし、視線を遮る。アクセント窓(例:蓮窓)などで閉じすぎない“抜け”を意図的に演出。 - 2階を開くことで眺望と採光を優先
敷地条件から、2階からの眺望確保を優先。南東方向に大きめの開口部を設け、景色を取り込む構成とする。 - レイヤー的な奥行きの構築
高さ差、床レベル差、耐力壁の凹凸などを使って視線の入り口をずらし、空間に奥行き感を宿す。 - 光と影の演出
建物の庇や軒出、壁の深さ・陰影設計、ライン照明などを使い、日中・夜間それぞれに豊かな光の表情をつくる。 - 吹き抜け階段でつなぐ縦の動線
敷地が狭い中でも、吹き抜け階段を設けることで1階〜2階の繋がり感を保ちつつ、視線を上方向へ誘導する。
まとめ
敷地調査を通じて得られた知見は、設計の“根”となる要素です。道路条件や隣家との関係、採光・眺望の可能性などを丁寧に読み取りながら、外観の閉じ/2階の開放、光・影の構成を意識した設計に繋げていきたいと思います。次段階では、これらを踏まえたプレゼン構成を展開していきます。
