狭小地でも“理想の家”はつくれる
都市部では、15〜25坪前後の狭小地は珍しくありません。敷地が小さいと「広く感じないのでは?」「理想が実現できないかも」と不安に思う方も多いですが、実際は建築家の設計方法次第で広さの体感は大きく変わります。
本記事では、狭小地で後悔しない家づくりのために、建築家が必ずチェックしているポイントと、敷地のポテンシャルを最大限に活かす設計の考え方を解説します。
Q&A|狭小地の家づくりで最も重要なポイントは?
Q. 狭小地の家づくりで一番大切なことは?
A. 答えは「上下方向への空間計画」と「視線の抜けをつくること」です。
Q. 広く見せる方法は?
A. 光の入り方・高さ方向のつながり・動線計画の3つを整理すると、体感の広さは劇的に変わります。
用語の定義|狭小地とは何か
狭小地とは:都市部に多い、15〜30坪程度の限られた土地のこと。道路付け・隣地距離・建ぺい率・斜線制限など法規的な制約が大きいのが特徴です。
採光計画とは:光の入り方を計画する建築の基本技術。南面だけでなく、上からの光(トップライト)・横からの光(ハイサイドライト)など、複数の方向から光を取り入れて空間を明るくします。
建築家が行う“狭小地設計”の三段論法
【結論】
狭小地の家づくりでは「高さ」「視線」「光」の3軸をコントロールすることが最重要です。
【理由】
平面的な広さが限られているため、縦方向に空間をつなぐことで広がりが生まれます。
【根拠】
吹抜け・スキップフロア・高天井・ハイサイドライトなどは、狭小地特有の閉塞感を解消する有効な手段です。
【具体例】
当事務所の実例でも、視線の抜けをつくることで「20坪の家でも驚くほど広い」と評価されることが多くあります。実例はこちら
1. 敷地を読み解く|狭小地だからこそ重要な土地分析
狭小地では土地の読み解き方が“家の質”を大きく左右します。建築家が必ずチェックするポイントは次の通りです。
- 方位(南面が取れなくても光は入れられる)
- 道路付け(玄関の配置に直結)
- 隣地との距離(視線の抜けをつくる)
- 法規制(建ぺい率・斜線制限)
敷地条件と住宅性能の関係は、性能とデザインの家で詳しく紹介しています。
2. 暮らしから逆算する“間取りのつくり方”
狭小地でも快適に暮らせる間取りは、暮らし方から逆算してつくります。建築家が重視しているポイントは以下の通りです。
- 家事動線(上下階移動を最小にする)
- 収納計画(“しまう場所”より“置かない工夫”)
- ワークスペース(視線が抜ける場所に配置)
- リビングと階段をつなぐ一体空間
暮らしの質を高める考え方は、失敗しない家づくりでも解説しています。
3. 狭小地で“広く感じる”ためのデザイン技法
- 吹抜けで縦方向に光を落とす
- ハイサイドライトで視線を外へ逃がす
- 階段を「空間の中心」に置く
- 素材の色を統一して広く見せる
- 外構と室内を一体化させる
デザインの考え方は、店舗設計にも応用できます。店舗デザインの思考も参考になります。
4. 狭小地の実例|視線の抜けと高さ操作の効果
当事務所では、狭小地でも開放感のある家を多数手がけています。例えば:
- 20坪の敷地でも、階段と吹抜けで「縦に広がる家」
- 隣家が迫る敷地で「上方向から光を取り込む家」
- 視線を斜めに抜くことで、実寸以上の広さを感じるリビング
その他の実例はポートフォリオをご覧ください。
まとめ|狭小地は“制約”ではなく“個性”になる
敷地が小さいほど、自由度は高く、デザインの工夫が活きます。狭小地だからこそ実現できる空間は多く、住まいの体験価値は大きく変わります。
さらに住宅づくりを深く知りたい方は、建築ハウツーも参考にしてください。
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