今回の建築ツアーのメインでもある犬島精錬所美術館。犬島に残る銅製錬所の遺構を保存・再生し、環境と調和する形で現代アートと建築が融合した施設です。雨天でしたが、廃墟の質感と瀬戸内の柔らかな光が相まって、より印象的な体験となりました。
犬島精錬所美術館
かつての産業遺構を生かしつつ、最小限の新しい構築物で動線・遮光・通風を整えたミュージアム。歴史の痕跡と先進的なディテールが同居し、フレーム越しに切り取られる瀬戸内の風景が展示と呼応します。
所感|遺構を“読む”設計
遺構の空隙へ最小限に介入し、光・風・視線を繋ぎ直すことで、保存/再生/更新のバランスを高い精度で成立させている印象でした。フレームの切り取りやガラス屋根の反射は風景を建築に招き込み、回遊のテンポが時間の層を浮かび上がらせます。建築的には「足す」のではなく「活かす」姿勢が貫かれており、学ぶ点の多い視察となりました。
