海の駅なおしま|SANAAがデザインした軽やかな港の建築

海の駅なおしま|SANAAがデザインした軽やかな港の建築

2019年8月21日

先日は、瀬戸内国際芸術祭2019の初日に犬島へ向かいました。
香川からのアクセスは「直島 → 豊島 → 犬島」とフェリーを乗り継ぐルート。最初の乗り継ぎ地点となる直島では、SANAAが設計を手掛けた「海の駅なおしま」を見学しました。港という機能空間に、建築的な軽やかさと透明感を持たせた秀逸な公共建築です。

海の駅 なおしま

直島フェリーターミナル|SANAA設計

到着した瞬間に感じるのは、屋根の“薄さ”と柱の“細さ”。この非日常的なプロポーションが、旅の起点としての軽やかさを象徴していました。港という喧騒の場に、静寂のデザインを持ち込むような建築です。

SANAA設計 直島フェリーターミナル 海の駅なおしま 外観ファサード
到着時の正面ファサード。薄い屋根と極細の柱で構成された、軽快なシルエット。
海の駅なおしま ターミナル 屋根下空間 SANAA
屋根下空間。妹島和世氏らしい繊細なディテール。鏡面仕上げの壁が海の光を反射して揺らめく。
直島フェリーターミナル 車寄せエリア 海の駅
ターミナル下の車寄せエリア。開放的でありながら、構造のリズムが空間を秩序づける。
直島フェリーターミナル 全景 犬島方面フェリー乗場
犬島方面フェリー乗場からの全景。軽やかな屋根が海風に溶け込み、風景の一部となる。

「仮設」と「恒久」の間にあるデザイン

この建築には、恒久的な施設でありながら、あえて“仮設的”な雰囲気が漂っています。
軽量な屋根、点で支える細柱、反射する床と壁面。それらが一体となり、“建築が風景に溶け込む瞬間”を演出しています。

直島の玄関口として、訪れる人を静かに迎え入れる佇まい。機能性と詩的感性が同居した、SANAAらしい港の建築でした。