Project6│

プロジェクト6

Floating Curves │ 自由曲面が描く、島に漂う金属構造の軌跡

プロジェクト概要

人工の島に浮かぶ巨大なチューブ状の金属構造。
そのかたちは自由曲面によって滑らかに構成され、空と水、地形と反射のあいだで視線と身体をやわらかく誘導します。

機能や用途、スケールを明示せず、建築とも彫刻とも断言できない曖昧さの中で、Floating Curvesは「建築の輪郭」を再考するための空間として存在しています。


曲面の連続が生む、身体の軌跡

この建築は、床・壁・天井という境界を持たず、金属製の自由曲面が連続して空間をかたちづくっています。
その連なりは、彫刻的でありながら身体の動きを想定したスケール感を保ち、訪れる人の動線や視線を制約せずに導いていきます。

内側に入る/外側をなぞる/通過する──そのすべての行為が「漂う」ように構成され、建築というよりも体験の器として存在します。


金属が持つ“温度のない質感”

素材には一貫して冷たい反射を持つ金属が用いられています。
しかしそれは無機的な硬さではなく、空の色や周囲の風景を反射することで、むしろ“風景に溶ける透明な器”としてふるまいます。

見る者の距離と角度によって、光と影のグラデーションが滑らかに変化し、建築自体が「視覚のメディア」となって空間の雰囲気を変容させていきます。


島と海と空のあいだに立ち上がる構造

この構造物は、あえて人工の島という文脈に設置されました。
その孤立した環境において、Floating Curvesは自然と人工の境界に浮かぶ「思考装置」として機能します。

地形の一部のようでもあり、人工物のようでもあるその佇まいは、建築の輪郭を風景の中ににじませ、見る者の立ち位置を揺るがせる。
建築を“経験”として再定義する、静かな提案です。


空間体験を開く、メタ的な存在

Floating Curves は、仮想と現実の間で設計された建築でもあります。
それはVRやメタバースといった次元でも展開されることを想定し、視覚や空間のリアリティをどのように構成するかが主題となっています。

ただしその表現はあくまで詩的に、情報よりも感覚に訴えるものとして設計されており、明示的なデジタル性ではなく、「漂うような存在感」によって空間のリアルさを支えています。


Floating Curves|自由曲面が浮かぶ、金属の軌跡