Project2 │
プロジェクト2
Snowbound Reflections │ 雪に包まれた静謐な建築の詩学
プロジェクト概要
雪に覆われた広大な敷地に佇む建築。木の現し構造、ガラス、そして一部に配されたレンガが構成する空間は、素材の差異と環境との関係性を静かに描き出します。
本プロジェクトでは、光と温度、重さと透明性、明示と曖昧といった建築の二項的性質が、雪景色の中で揺らぎながらひとつの風景として再構成されます。

木構造の“呼吸”が空間に静けさを与える
木造の構造体は意図的に現しとされ、空間の内部に素材の“呼吸”を感じさせます。
外の雪が音を吸い込み、木が響きを和らげ、反響ではなく“包まれる感覚”を作り出す。
この空間においては、物理的な音よりも“沈黙の密度”こそが設計対象であるとも言えます。

ガラスが映す時間と気配のレイヤー
ガラスは視線を通すためだけでなく、光と温度、そして風景の層を映し出すための媒介です。
降り積もる雪と空の色がガラスにうつろいを与え、空間が「今ここにある」ことを静かに証明します。
内部から見る外部は絵画のようでもあり、時に、内と外が視覚的に反転する瞬間も生まれます。

レンガという“重さ”が空間に重心を与える
全体の構成において占める割合は少ないものの、レンガの存在がこの建築に“重さ”と“確かさ”を与えています。
木やガラスの軽やかさの中に、触覚的な素材感が差し込まれることで、視線がひとつの着地を得る。
あたたかさではなく、“温度差”こそが空間にコントラストをもたらしています。

雪によって変化する明度と輪郭
この建築は、天候・時間・雪の状態によって見え方を大きく変化させます。
晴天時には輪郭が際立ち、曇天や雪の舞う日にはそのかたちは風景に溶ける。
建築が“ある”ことを主張しない時間こそが、この空間の本質を映し出します。

明示されない機能、漂うような存在感
この空間には、明確な機能や動線が与えられていません。
使い方を規定することなく、そこにある気配や素材、環境の状態と対話するような設計。
人がその場に佇んだとき、その人自身の時間や記憶に建築が寄り添うような、
柔らかく、しかし確かに存在する場を目指しています。
