オフィス設計は、席を並べる作業ではありません。組織の働き方、来客体験、情報管理、採用、将来の増減を空間へ翻訳する仕事です。物件決定後に要件を考え始めると、設備容量や工期の制約によって選択肢が狭くなります。
移転・改修を検討する段階で、次の8項目を整理すると設計の判断が速くなります。
目次
1. 在籍人数と実際の出社人数
在籍人数だけで席数を決めず、曜日別の出社率、部署ごとの働き方、来訪者、採用計画を確認します。固定席、フリーアドレス、集中席をどう組み合わせるかは運用と一緒に考えます。
2. 仕事の種類と音の関係
オンライン会議、電話、共同作業、集中作業では必要な環境が異なります。遮音室を増やすだけでなく、音が発生する場所と静かな場所を距離や家具で分けます。
3. 来客とスタッフの動線
受付、会議室、ショールーム、執務室への動線を整理します。来客が執務情報へ触れずに移動できること、スタッフが短い動線で応対できることの両方が重要です。
4. セキュリティと情報管理
入退室区画、サーバー、書類保管、撮影制限を整理します。扉やカードリーダーだけでなく、来客からの視線や会話の聞こえ方も設計条件です。
5. 電気・通信・空調
コンセント数、Wi-Fi、会議設備、サーバー、複合機の負荷を設備計画へ反映します。ビル空調の運転時間、増設可否、個別空調の室外機置場も確認します。
6. 物件とビル管理の条件
- 床荷重と重量物の設置可否
- 天井・照明・空調の既存状態
- 工事区分と指定業者
- 搬入用エレベーターと作業時間
- 看板・サインの設置条件
- 消防設備と避難経路
7. 予算の範囲
内装工事だけでなく、設計料、ビル指定工事、家具、AV・通信、移転、仮設、原状回復を含めます。既存家具や設備を再利用する場合は、移設費と新規購入費を比較します。
8. 意思決定とスケジュール
経営、総務、IT、現場部門の誰が何を決めるかを明確にします。設計、見積調整、ビル審査、工事、引っ越しを逆算し、業務を止められない期間も共有します。
設計者へ渡す資料
- 組織図、在籍人数、採用計画
- 現在のオフィスの課題
- 部署ごとの業務と出社状況
- 必要な会議室・設備・収納
- 候補物件の図面とビル工事資料
- 移転希望日と総予算
要望をすべて面積へ置き換える前に、優先順位を決めます。面積を増やすより、共用方法や時間帯を整理する方が効果的な場合もあります。
候補物件の比較段階から相談できます。
働き方と物件条件を照合し、必要面積、設備、予算、工程の論点を整理します。

