木材の熱量—温もりの素材論

木材の熱量—
温もりの素材論

河添 甚
河添 甚 代表建築家 / KAWAZOE-ARCHITECTS主宰

CLTの普及で再注目される木造建築。素材が持つ固有の温度感と、人が感じる心理的安らぎの関係を探る。

木材という生きた素材

木材は呼吸する素材だ。湿度を吸い、放出し、空間の快適性を自律的に調整する。この生理的な機能に加え、木材には人の心理に働きかける力がある。木の香り、手触り、温かみ—それらは数値化しにくいが、確実に存在する質感である。

CLTがもたらした構造革命

CLT(直交集成板)の登場は、木造建築の可能性を劇的に広げた。従来は不可能だった大スパン、高層建築が木造で実現可能になり、ヨーロッパを中心に木造中高層建築が次々と生まれている。

日本でも2019年の建築基準法改正以降、木造建築の可能性は大きく広がった。素材としての木の温もりと、構造材としての新しい可能性が融合する時代が始まっている。

温もりの設計

木材を使うことが即ち温かい空間を生むわけではない。樹種の選定、木目の方向、仕上げの方法、光との関係—これらすべてが空間の温度感を左右する。温もりとは、素材の物理的な温度ではなく、空間が人に与える心理的な安心感のことだ。

河添 甚
河添 甚 代表建築家 / KAWAZOE-ARCHITECTS主宰

1977年、香川県生まれ。2002年に大阪工業大学工学部建築学科を卒業。2010年、河添建築事務所に参画し代表に就任。香川・東京の二拠点を構え、住宅から商業建築まで幅広い設計を手がける。

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