耕す土壁—左官職人と現代建築の接点

耕す土壁—
左官職人と現代建築の接点

河添 甚
河添 甚 代表建築家 / KAWAZOE-ARCHITECTS主宰

デジタル化が進む建設業界で、土壁の手仕事が見直されている。伝統技法と現代設計の融合が生む新たな可能性。

左官という技術

左官は、日本建築の中で最も触覚的な仕事だ。土を練り、壁に塗り、鏝で仕上げる。その工程には機械では代替できない、職人の手と目と感覚が不可欠である。土の配合、水加減、乾燥の見極め—すべてが経験知に基づいている。

土壁の現代的価値

土壁には現代建築にとって再評価すべき価値がいくつもある。まず調湿性能。土壁は空間の湿度を自律的に調整し、エアコンに頼らない快適さを実現する。次に蓄熱性能。昼間の熱を蓄え、夜間にゆっくりと放出することで、室温の変動を穏やかにする。

そして何より、土壁には「手の痕跡」がある。均一さを求めるのではなく、微細な凹凸や色むらが生む表情こそが、空間に温かみと深みを与える。

伝統と現代の接点

近年、左官技法を現代建築に取り入れる試みが増えている。伝統的な大津壁の技法をホテルのロビーに、版築の技法を商業施設のファサードに。素材と技法は伝統的でも、空間の在り方は現代的—この融合に、日本の建築文化の未来がある。

河添 甚
河添 甚 代表建築家 / KAWAZOE-ARCHITECTS主宰

1977年、香川県生まれ。2002年に大阪工業大学工学部建築学科を卒業。2010年、河添建築事務所に参画し代表に就任。香川・東京の二拠点を構え、住宅から商業建築まで幅広い設計を手がける。

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