建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの|森美術館で感じた日本建築の本質

建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの|森美術館で感じた日本建築の本質

2018年9月16日

先日は六本木ヒルズ・森美術館で開催された展覧会、「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」を観覧しました。
古典から現代までの建築思想が、模型・原寸スケールの断片・映像インスタレーションで有機的につながっていく濃密な展示でした。

建築の日本展

その遺伝子のもたらすもの

森美術館「建築の日本展」受付インフォメーション
会場エントランス。多様な展示を予感させる導入。

展示は「素材」「構法」「空間」「環境」「都市」といった切り口で、日本建築の系譜を横断。伝統が現代の技術・表現へと更新されるプロセスが、実物大モックアップや模型を通じて直感的に理解できました。

格子状に組まれた木組みの展示
斜め格子の木組み。水平・垂直の常識をずらし、光の抜けや奥行きを再構成。
藤本壮介 HOUSE N 展示
藤本壮介「HOUSE N」。殻が幾重にも重なる“外部のような内部”。
HOUSE N 別角度の展示模型
角度を変えると、境界の曖昧さと透け感がより鮮明に。
丹下健三 自邸の模型
丹下健三 自邸模型。軽やかな構造とミニマルな空間操作が凝縮。
香川県庁舎 模型(設計:丹下健三)
香川県庁舎(丹下健三)。地域性とモダニズムが重なる名作。
建築模型の展示
多数の模型が、思想の変遷を立体的に可視化。
谷口吉生 法隆寺宝物殿
谷口吉生「法隆寺宝物殿」。静謐なプロポーションと素材感。
電飾タワーのインスタレーション
光のインスタレーション。都市スケールの記号性を抽象化。
ライゾマティクス・アーキテクチャーのレーザーファイバー×映像
Rhizomatiks Architecture:レーザーファイバー×映像。構造と光を束ねる“見えない骨格”。
千利休作 国宝《待庵》の再現展示
千利休《待庵》。最小の体積に宿る最大の密度―日本的空間の原型。

木組み・間(ま)・光・素材の選択。
これらの“遺伝子”が、時代ごとに更新されながら今日の建築へと受け継がれていることを実感できる展示でした。実務にも活かせる豊かな示唆を得ました。