店舗の開業予算は、内装工事費だけでは組めません。物件取得、設計、設備、厨房、家具、サイン、許認可、開業準備、工事中の家賃まで含めて考える必要があります。立地と賃料だけで物件を決めると、設備増設や用途変更によって予算が大きく変わることがあります。
最初に総額を整理し、確定している費用と未確認の費用を分けることで、どの物件なら事業計画と空間計画を両立できるか判断しやすくなります。
目次
店舗開業の予算を8項目に分ける
1. 物件取得費
保証金・敷金、礼金、仲介手数料、保証会社費用、前家賃などです。契約開始から開業までの設計・工事期間にも賃料が発生するため、営業していない期間を含めます。
2. 調査・設計・監理費
現地調査、基本設計、実施設計、行政・消防・保健所との協議、工事中の設計監理などです。構造、設備、厨房、サインなど外部専門家の協力が必要な場合は、その範囲も確認します。
3. 内装・建築工事費
解体、間仕切り、天井、床、壁、建具、造作、塗装などです。既存状態を活かす部分と撤去する部分を決め、スケルトン、居抜き、既存内装付きの違いを整理します。
4. 電気・空調・給排水・換気工事費
店舗工事で予算差が出やすい項目です。電気容量、給排水位置、室外機置場、排気ダクト、ガス容量、防災設備を確認します。飲食店では厨房排気と給排水、美容室では給湯と排水、物販では照明と空調が計画を左右します。
5. 厨房・什器・家具・備品
厨房機器、冷蔵庫、作業台、レジ、商品棚、客席家具、カーテン、食器などです。工事見積に含まれるものと、施主が直接購入するものを分けます。
6. サイン・外観・照明
看板、ファサード、外部照明、メニュー表示、ウィンドウ装飾です。管理規約や景観条例で制限される場合があるため、契約前に設置可能範囲を確認します。
7. 申請・許認可・検査費
建築確認、用途変更、消防、保健所、旅館業など、業態と工事内容に応じた費用です。申請手数料だけでなく、調査、図面作成、是正工事も予算に含めます。
8. 開業準備費と予備費
採用、広告、撮影、印刷、通信、移転、在庫、研修などの開業準備費に加え、既存建物の想定外へ対応する予備費を確保します。
物件契約前に金額を確認すべき項目
- 希望業態が建築・消防・保健所の条件を満たせるか
- 電気、ガス、給排水、排気の容量と増設可否
- A工事・B工事・C工事の区分と指定業者
- 看板・外観変更の制限
- 工事可能時間、搬入、養生、申請期間
- 原状回復の範囲
- 既存設備の所有者と故障時の責任
設備不足や指定工事は、契約後に価格交渉しにくい項目です。候補物件の図面、工事区分表、設備表を設計者へ共有し、現地確認を行います。
予算表は「確定・概算・未確認」で管理する
- 確定:保証金、仲介手数料、契約済み機器など
- 概算:内装工事、設計、家具、サインなど
- 未確認:用途変更、幹線増設、排気経路、構造補強、アスベストなど
未確認項目をゼロ円として扱うと、後から資金不足になります。金額が決まらない段階では、調査費と予備費を別枠で確保します。
予算超過時に見直す順序
- 必要席数、バックヤード、収納、厨房面積を見直す
- 既存仕上げ・設備を安全に活かせる範囲を確認する
- 造作と既製品の使い分けを整理する
- 設備方式と施工範囲を単純化する
- 開業後に追加できる家具・装飾を分ける
防火、避難、衛生、換気、耐久性に関わる部分を、価格だけで削らないことが重要です。店舗の印象をつくる要素を絞り、投資する場所を明確にします。
相談時に用意したい資料
- 事業計画と開業希望日
- 候補物件の図面、設備表、工事区分表
- 予定業態、営業時間、席数、スタッフ数
- 厨房・機器・什器の一覧
- 物件取得と運転資金を含む総予算
- 参考にしたい店舗と避けたいイメージ
候補物件が一つに決まっていない段階でも相談できます。複数物件を同じ条件で比較すると、賃料だけでは見えない工事費と開業リスクを整理できます。
店舗物件の契約前から予算を整理します。
業態、設備、法規、工事区分を確認し、開業までに必要な総額と優先順位を検討します。
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